インタビュー

昨日金曜日は、僕の所属するプログラムが受験生を対象としてインタビュー(面接)を行っていた。この習慣は日本のアカデミアでは馴染みが薄いと思うので少し詳しく扱ってみたい。

まず、アメリカ大学院の受験は二段階方式で行われる。これは物の本やウェブサイトに詳しく出ているからあまり詳細には語らないが、一次審査が書類選考で、それに通過すると面接がある。書類選考では、成績、GREという共通試験のスコア、エッセイ、推薦状、履歴書、そして留学生は英語のテストのスコアなどで審査される。面接は、書類審査を通過した学生を実際にキャンパスに呼んで、教員と顔を合わせながらの審査となる。

僕のプログラムでは毎年800人から1000人ほどが出願し、最終的に入学する学生が35名ほどである。アメリカの大学院では併願が当たり前で、いろんな人に尋ねたところ大体皆8から10プログラム程度出願するようである。当然、上位の学生は様々なプログラムで取り合いになるので、合格者は入学者よりも多い。面接人数を推測することは難しいが、合格者の二倍ほどの人数を面接していると思われる。どうやら面接では半数程度が落とされる(こともある)ようで、面接に呼ばれたからといって安心できないようだ。また、2ラウンド目の面接など、適宜、数を調整しているようである。これは実際に僕の身に起きた悲しいできごとであるが、面接が設定されたにもかかわらず、面接が行われなかったことがある。これは今から推測するに、定員の人数が、僕よりも優先したい学生で埋まってしまったのだと思われる。

後述するように僕のインタビューは全てSkypeで行われたが、アメリカに住む学生はon siteのインタビューに臨む。というのも、インタビューは学生にとってとても良い待遇となるのだ。通常、交通費と宿泊費が支給されるだけでなく、面接が終わると、現地の学生やポスドクとの交流会、barでお酒が振舞われたりと、至れり尽くせりなのだ。では、なぜこれほど面接にお金をかけるのかといえば、前述した通り、各大学院では良い学生の取り合いが起こっており、少しでも優秀な学生をあの手この手でリクルートするのに必死なのである。これはさながら就職戦線のようだ(しかし考えてみれば当然で、アメリカの大学院では教員やプログラムが学生の生活費と授業料を支払う)。

では、教員は面接に何を期待しているのか。どんなところを見ようとしているのか。これは推測することしかできないが、教員は良く「成熟度」という言葉を使う。彼はとてもmatureだから受けいれたいなどというふうに言う。成熟度とは難しい言葉だ。面接ではどんなことが聞かれるのか、ということから考えてみたい。まず、必ず質問されることとして、今どのような研究に携わっているのかというのがある。これは自分の研究を簡潔な言葉でまとめて説明するのであるが、このときに教員は様々な質問を挟む。この問いの意図としては、「責任者」として研究に携わっているかということであり、迎え入れたときに独立志向(independent)な研究者に育つ見込みがあるかどうかをみている。さらに途中で横槍のように問われる質問から、その人の勉強量や問題に対するアプローチの仕方などを観察しているようだ。次に問われる質問しては、キャリアをどのように考えているのかというものだ。これはそのときに考えていることを正直に話せばいいようだが、つまるところ、その人の大学院という場の位置付けや、大学院で学び最終的なゴールとしては将来どうなりたいのかということを聞いている。どれほど自分の人生を真剣に考えているかということを問うていると思われる。僕の解釈としては、アメリカの大学院は性格的・人柄的には「大人/優等生」で、そして「研究に主体的に取り組む」学生が欲しいのだ。こう書いてしまうと「なーんだ当たり前じゃないか」と思う。しかし、いろいろ話を聞いてみると、インタビューに呼ばれてお酒で大失敗した人の話とか、時間が守れない学生の話などいろいろ出てくるものだ。日本人の学生にとっては書類審査と面接の英語が難関であるが、意思疎通さえ出来てしまえば、面接は良い評価になりやすいように思う。

ここでは将来受験するかもしれない人のために僕の体験談を書いておこう。前述の通り僕の面接は全てSkypeだった。今の所属の審査では4人の教員が面接にアサインされ、それぞれに対してSkypeが設定された。日米の時差の関係上、僕は朝6時前から面接を受けることが多く、超早朝に起きだして寒い中ラボまで歩き、頭を英語モードにして面接に臨むことになった。1人は日本人の教員だったため、日本語でリラックスしたなかで行われたが、残りの3人はもちろん英語の面接で、一人につきおよそ一時間ほど上述のやりとりをした。ある教員(今のボス)は、手元の紙に図を書いて、「こんな現象があるんだけど、どんな仮説が立つ?」などというような質問をしてきて、かなり困惑した記憶がある。手前味噌で恐縮ではあるが、僕は入学後に、面接の準備の仕方を直接褒めてもらった。そこで、簡単に何をしたかを書いておこうと思う。それは、面接官になった教員の主要論文を3-5本程度読み、質問を列挙して面接に臨むことである。これは、現地について面接官を知らされるアメリカ住まいの学生には不可能であるが、味気のないSkype面接を逆手にとった方法である。質問をすることで熱意を伝えることができるし、あらかじめ教員の研究内容を知っておくことで、リスニングの負荷を減らすことができる。

さて、本日の内容のパンチラインとしては、①アメリカの大学院は優秀な学生を集めるためにインタビューをゴージャスにしている、②面接で聞かれることはいくつかに限られているが、そこでは科学をする学生としての成熟度が評価される、③留学生といえども準備を怠りなくすることで、面接に対処することができる、といったところだと思う。

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