プロトコールの準備(まずは振り返り)

これまでの二週間ほどは事務作業に忙殺されてしまい、ほとんど研究に集中することができなかった。それというもの、アニマルプロトコールの準備を任されてしまったからだ。英国では動物を使った研究をするためにはライセンス(プロトコール)が必要であり、その承認されたライセンスに基づく研究/実験以外はすることができない。これは法的な拘束力を持つ、いわゆるラボの憲法のようなものだ。ライセンスは5年が期限となり、更新することはできない。5年ごとに毎回新規申請となる。ライセンスの申請と承認は大学や研究所、国といくつもの機関を跨いだ大仕事で、そのため準備はおよそ一年前から始まる。そして僕の所属するラボでも、次のライセンス申請に向けてそれが始まったのだ。今のライセンスと次のライセンスを途切れなく繋ぐには、時間を気にしながら作業をする必要がある。ボスから信頼されていると捉えて良いのだろうが、ラボの秘書さんと僕にこの仕事が降ってきてしまった。

いきなり新規ライセンスを書き始めることはできない。まずは現在運用中のライセンスの詳細な振り返り書類と、新規ライセンスの申請を大学/研究所側と相談するための問診シートの二種類の書類を急いで作成する必要がある。前者は昨年の11月にボスのところへメールが来ていたのだが、いつものように彼女は気がつかず、このタイミングまで押してしまったのだ。11月から始められればもっとずっと時間的にゆとりがあったものの。。。ということで、ラボの8割ほどがイースター休暇で遊びに行ってしまったところ、秘書さんと僕はこの二週間ほどそれぞれの仕事の合間を縫って、この二種類の書類と格闘してきた。

二人ともこの五年の間にラボに入ったので、前回の経験もないし、必要なデータをどうやって取り寄せて良いのかわからない状態から始まったので、もう大変である。巨大なエクセルシートを入手することはできたものの、今度はそれと格闘して必要な数を抽出仕分けする作業が膨大で、毎日数時間ずつ二人で作業しても二週間で終わらない。一体僕らは何をしているのだろうか、とぼやきながらの作業である。しかし、秘書さんが信頼できる人で、そのライセンスを使った実験を彼女がするわけではないにもかかわらず一所懸命に対処しようとしてくれているので、僕もなんとか腐らず踏みとどまっている。しかし、こういった事務作業を経験すればするほど、イギリスに渡ってきたことを後悔し、自分の将来への不安が募る。


また週末少しずつ走るようになった。イギリスもようやく春である。


趣味のプロジェクトは現在24%。もう少しで1/4に到達する。

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