ミスが見つかる

今日はがっかりすることがあった。

自分がCRISPRで作って、すでに他の変異体とかけあわせたり、他のtransgenicとかけあわせたりしていた変異体が、どうやらnullではなくhypomorphなのではないかとの疑いを持つようになった。そう考えれば、今までわずかにおかしいと思っていた観察結果が綺麗に説明できる。

このミスは僕が生命現象についてもっと深い洞察をもっていれば避けられたものだと思う。恐らく、導入した変異より下流の遺伝子領域で新しい開始コドンが使われているのではないかと思われる。導入した変異が本来の開始コドンの近傍であり、その直ぐ後ろにin frameのATGがあることから、恐らくその致死性の変異をスキップし、ほぼ完全なタンパク質を作っていると思われる。弱いながらフェノタイプは見られるため、hypomorphであることは間違いないが、恐らくスキップして作られた少量のタンパク質がワークしているのだろう。どうしてgRNAを設計する段階で気がつかなかったのか。悔やまれる。そして、zebrafishではワークする抗体が極端に少ないことも、このようなチェックを難しくしている。

今日から急いで新しい魚をスクリーニングすることになった。早い段階で思いついて良かったが、また変異体の取り直しだ。僕のプロジェクトでは避けては通れない変異体なので、切り捨てるわけにはいかない。Zebrafishの3ヶ月の世代時間が効いてきて、これで卒業は一年延びたように思われる。もう卒業なんて夢のまた夢というような気がする。