アメリカ合宿期間中イギリス一時帰国

現在は6週間のアメリカ研究合宿中なのだが、4日間だけイギリスに帰国している。現在某財団のポスドクフェローシップに応募しておりインタビューに呼んでもらったので、ロンドンで行われるインタビューに出席するために帰国したのだ。体力的にかなりしんどいのだが、仕方ない。ブライトサイドといえば、2週間ぶりに妻に会うことができたことだ。

ありがたいことに同時期に応募していた日本のポスドクフェローシップには採択が内定したので、今回のイギリスフェローシップへのプレッシャーは和らいでいる。しかしながら、イギリスフェローシップの方が期間も長く研究費も援助されるので、僕にとってもラボにとっても助かるということで、これにも力を抜くという選択肢はない。

10月と同時に始まった、Jから始まるアメリカの研究機関での合宿はこれまでに工程の1/3以上が終了。しかしここまでの成果としては一つだけ実験を終えたに過ぎない。この2週間といえば駆けずり回るように忙しかった。現地に到着したものの、期待していたよりもずっと準備がなされておらず、文字通り空の部屋を与えられて、そこからBSL2感染実験が行えるように準備をするまでに随分と時間がかかった。自分にとっては新しい研究機関であるし、その機関にとって今回新しい実験系を僕らが持ち込むということで、毎日のように何かしらのトレーニングやミーティングが立て続けに組まれ、多くの折衝をせねばならず、その合間をみるように実験の準備をしたのだった。1週間だけラボの同僚が来ていたので、彼女の滞在期間中になんとかまともに実験が始められる状態にすることができた。

インタビューを終えてイギリスからアメリカに戻ったら、そこからようやく多くの実験ができるのではと期待している。また、相手に対してこちらの実験系を持ち込む、相手の大学院生をその感染実験ができるまでにはトレーニングを終えたので、僕の役割の幾つかは既に終えたのではないかと思う。

新しい研究機関に出張し、新しい人たちと実際に研究プロジェクトを行なってみると、日常的に本当に多くの発見がある。特に今回は分野の融合を狙ったようなものなので、相手の領域の常識を知ったり、実験のうちのどんなことに気を使うか知るだけでも毎日勉強になる。僕らの実験系とは気を使う場所が異なっており、それらを知るだけでも単純に楽しい。そして、才能のある同世代と知り合うことはやはりこの上ない刺激となる。世界の最先端の研究機関では今このような方向性の研究が盛り上がってきている、ということを肌で感じることができるのは刺激的なことだ。そういう意味で、6週間もイギリスでの自分自身の研究を止めて、イギリスアメリカ間をインタビューのために往復し、(ほぼ相手のために)研究材料を持ち込むための大量の雑用をこなしているのにもまあ意味があるのではないかと思う。とにかく与えられた役割に対して、その都度一所懸命に働くこと以外できることは無いし、それが自分を活かす方法なのではと考えている。この研究機関についてはあまり多くを書くことはできないが、不思議な環境である。好きな人には楽園のような場所かと思うが、苦手な人も多いのではないだろうか。僕は6週間ならば楽しく生活できそうだが、ここに妻と移住するのはあまり考えられないのではと思う。

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